オーストラリアに来て最初の大きな買い物のひとつが車です。大都市の中心部は公共交通機関が便利ですが、郊外に住んだり、ファームで働いたり、旅行したりするなら、車があると生活がぐっと楽になります。ただし、中古車はいくつかの簡単なチェックを省くと、大きな損をすることもあります。
この記事では、オーストラリアで中古車を買う方法をステップごとに解説します。探し方、必ずやるべき$2のPPSRチェック、車の点検、NSW・ビクトリア・クイーンズランドでの名義変更(レジ移転)、ディーラー保証、避けるべき詐欺までまとめました。内容は2026年10月にPPSR、NSW州政府、VicRoads、クイーンズランド州政府の公式情報で確認しています。州ごとにルールが違うので、車を登録する州の交通局サイトも必ず確認してください。
まとめ(クイックサマリー)
- 購入当日か前日にPPSRチェック($2)をしましょう。ローン残債、盗難車、全損(written off)の記録がわかります。
- VIN(車台番号)、エンジン番号、ナンバープレートが登録書類と一致しているか確認しましょう。
- 売り手ではなく、自分で選んだ整備士に第三者点検をしてもらいましょう。
- 実際に見ていない車にデポジット(手付金)を絶対に払わないでください。
- 14日以内にレジ(登録)を移転し、印紙税(stamp duty)を払います(NSW、ビクトリア、クイーンズランド)。
- 正規ディーラーから買うと通常は法定保証がありますが、個人売買にはありません。
ステップ1:予算を決める(車両価格だけではありません)
広告の価格は費用の一部にすぎません。予算には次のものも入れましょう。
- 印紙税(stamp duty) — 名義を自分に移すときに払います
- 州の交通局に払う名義変更手数料
- 保険 — 最低でも対物(third party property)、できれば車両保険付きの総合保険(comprehensive)
- 今のレジが切れたときのレジ更新費用
- 最初の整備、タイヤ、ちょっとした修理 — 古い車は買ってすぐに必要になることが多いです
NSWでは、車の市場価値と実際の購入価格のうち高いほうをもとに印紙税が計算されます。各州にオンライン計算ツールがあるので、価格を決める前に確認しましょう。
ステップ2:ディーラーか個人売買か
中古車は正規ディーラー、個人の売り手(オンラインのマーケットプレイスなど)、オークションで買えます。それぞれにメリットとデメリットがあります。
| 正規ディーラー | 個人の売り手 | |
|---|---|---|
| 価格 | 高めのことが多い | 安めのことが多い |
| 法定保証 | 多くの中古車にあり | なし |
| 消費者保護 | 手厚い | ほとんどない |
| ローン残債 | ディーラーが清算する義務あり — 通常は守られる | 残債があると車を差し押さえられることも |
| 書類手続き | 通常ディーラーが名義変更 | 自分と売り手で行う |
ディーラーの法定保証
NSWとクイーンズランドでは、正規ディーラーで買った中古車が10年未満かつ走行距離16万km未満なら、3か月または5,000km(早いほう)の法定保証が付きます。クイーンズランドでは、それより古い・走行距離の多い車でもディーラーから買えば、1か月または1,000kmの短い「class B」保証があります。他の州にも似たルールがあり、一部のオークションなどは対象外になることもあるので、どの保証が付くかディーラーに確認し、書面でもらいましょう。
個人の売り手には保証を付ける義務はありません。1週間後に故障しても、たいていは自己責任です。だからこそ個人売買では、次のチェックがとても大切です。
ステップ3:PPSRチェックをする($2)
PPSR(Personal Property Securities Register)は政府の公式登録簿です。ppsr.gov.auで$2で検索でき、次のことがわかります。
- 車に担保権(ローンなど)が登録されているか
- 盗難車として登録されているか
- 全損(written off)の記録があるか
- メーカー、モデル、色(目の前の車と見比べられます)
これが重要なのは、売り手がカーローンを返し終えていない場合、代金を全額払っていても貸し手に車を差し押さえられる可能性があるからです。検索には車のVIN(1989年以降に作られたほとんどの車は17桁)またはシャシー番号が必要です。ナンバープレートやエンジン番号では検索できません。購入当日か前日に検索し、証明書は保管しておきましょう。
PPSRではローン残高、過去の所有者、走行距離、未払いの罰金はわからないので、ほかのチェックも必要です。
ステップ4:書類を確認する
登録書類と売り手の身分証明書を見せてもらい、次を確認しましょう。
- 売り手の名前が登録上の所有者と同じか(違う場合、理由を説明できるか)
- 書類のVIN、エンジン番号、ナンバープレートが実際の車と一致しているか
- レジが有効か — ほとんどの州に無料のオンライン照会があります
- 整備記録(ログブック、領収書)が走行距離と合っているか
書類を見せられない、話がころころ変わる、「車は友達の家にある」と言って変な場所で会おうとする — そんなときは買わずに立ち去りましょう。
ステップ5:車の点検と試乗
明るい日中に、エンジンが冷えた状態で車を見ましょう。サビ、タイヤの片減り、オイル漏れ、メーターの警告灯、色の違う塗装など事故修理の跡をチェックします。試乗は最低15〜20分、少しスピードを出す区間も含めて行い、ブレーキやハンドル操作のときに異音がしないか聞きましょう。
見た目がきれいでも、購入前の第三者点検(pre-purchase inspection)にはお金を払う価値があります。出張整備士や自動車協会がこのサービスを行っています。点検する人は売り手のおすすめではなく、自分で選びましょう。
ステップ6:安全検査・ロードワージーのルール
所有者が変わるときに必要な安全検査は州によって違います。
- ビクトリア: 売り手がロードワージー証明書(RWC)を用意します。有効期間は30日で、免除対象でなければレジ移転に必要です。
- クイーンズランド: 売り手は有効なセーフティ証明書(safety certificate)を持っている必要があります。個人売買では2か月または2,000km(早いほう)まで有効です。
- NSW: レジが有効なら、通常の名義変更に安全証明書は不要です。古い車はレジ更新のときに安全検査(通称「ピンクスリップ」)が必要です。
ロードワージーや安全証明書は、検査した日に基本的な安全基準を満たしていたという意味にすぎず、車が故障しないことを保証するものではありません。
ステップ7:安全に支払い、詐欺を避ける
オンラインのマーケットプレイスでは車の詐欺がよくあります。似た車よりかなり安い価格、「海外にいる」「軍人だ」という売り手、車を「押さえる」ためにデポジットを払わせようとする圧力、ギフトカード・暗号資産・怪しい支払いリンクでの支払い要求は危険なサインです。
- 実際に見て確認していない車には、絶対にお金を払わないでください。
- 安全な公共の場所で会い、友達と一緒に行きましょう。
- すべてのチェックが終わってから銀行振込か銀行小切手で支払い、売り手の氏名・住所・価格・日付・VIN・ナンバーが書かれた領収書をもらいましょう。
- 何かおかしいと思ったらScamwatchに報告しましょう。
ステップ8:レジ(登録)を移転する
購入後は自分の名義に移し、名義変更手数料と印紙税を払います。
ニューサウスウェールズ(NSW)
延滞料や罰金を避けるため、購入から14日以内にレジを移転する必要があります。車の強制対人保険(CTP)は新しい所有者に自動で引き継がれます。通常はService NSWでオンライン手続きができます。詳しくはNSW州政府の名義変更ガイドをご覧ください。
ビクトリア
買い手は車を受け取ってから14日以内にVicRoadsへ名義変更を届け出る必要があります。売り手がオンラインで手続きを始め、買い手が名義変更手数料と印紙税を払って完了します。ロードワージー証明書が必要です。詳しくはVicRoadsの中古車購入ガイドをご覧ください。
クイーンズランド
車を受け取ってから14日以内にレジを移転し、手数料と印紙税を払います。買う前にセーフティ証明書がまだ有効か確認しましょう。詳しくはクイーンズランド州政府の中古車購入ガイドをご覧ください。
その他の州・準州
WA、SA、タスマニア、ACT、NTはそれぞれ期限や手数料が違います。買う前にその州の交通局サイトを確認しましょう。
ステップ9:運転する前に保険に入る
レジには人のケガを補償するCTP保険が含まれています。しかし、自分の車や他人の車の損害は補償しません。車に乗って帰る前に、次の保険を検討しましょう。
- 対物保険(third party property) — 他人の車や物への損害を補償
- 対物+火災・盗難(third party fire and theft) — 自分の車の盗難・火災も補償
- 総合保険(comprehensive) — 自分の車の損害も補償
海外の免許で運転する場合は、保険会社がその免許を認めているか確認しましょう。万一事故にあったら、交通事故チェックリストを参考にしてください。
新しく来た人がよくやる失敗
- 「時間の節約」で$2のPPSRチェックを省く
- 会ったこともない売り手にデポジットを払う
- 整備士の点検なしで安い車を買い、修理に何千ドルも払う
- 印紙税や保険を予算に入れ忘れる
- 14日以内にレジを移転しない
- もう使えない海外免許で運転し続ける — オーストラリアで日本の運転免許は使える?を確認しましょう
よくある質問
PPSRチェックの費用はいくらですか?
政府の公式サイトで1台$2です。車のVINまたはシャシー番号が必要です。
車を買ってから、いつまでにレジを移転すればいいですか?
NSW、ビクトリア、クイーンズランドは14日以内です。他の州・準州はルールが違うので、現地の交通局を確認してください。
個人から中古車を買った場合、保証はありますか?
ありません。法定保証は正規ディーラーで買った車だけに適用されます(例:NSWとクイーンズランドでは10年未満・16万km未満の車に3か月または5,000km)。個人売買には付きません。
ワーキングホリデービザでも車を買えますか?
はい。ファームの仕事やロードトリップのために車を買うワーホリの人はたくさんいます。登録に使うオーストラリアの住所と、運転が認められている免許が必要です。詳しくはワーキングホリデービザ完全ガイドをご覧ください。
車を買うのにオーストラリアの銀行口座は必要ですか?
必須ではありませんが、現金を持ち歩くよりオーストラリアの口座から振り込むほうが安全で簡単です。オーストラリアの銀行口座の開設方法も参考にしてください。
まとめ
良い中古車があれば、通勤や旅行、家賃の安い地域での生活など、オーストラリアでの自由がぐっと広がります。焦らずに、$2のPPSRチェック、書類の確認、第三者点検を行い、見ていない車にはお金を払わず、14日以内にレジを移転しましょう。この簡単なステップを守るだけで、お金を守り、よくある落とし穴を避けられます。
関連ガイド
- オーストラリアで日本の運転免許は使える?州別ルールと切り替え
- オーストラリアで交通事故にあったら:やるべきことチェックリスト
- オーストラリアの生活費まとめ
- オーストラリアの銀行口座の開設方法
- ワーキングホリデービザ完全ガイド
公式情報
- PPSR: Check a car before you buy
- NSW Government: Transferring registration when buying a vehicle
- NSW Government: Dealer guarantees and warranties
- VicRoads: Buying a used vehicle
- Queensland Government: Buying a used vehicle
この記事は一般的な情報であり、法律・金融のアドバイスではありません。ルールや料金は変わることがあるので、購入前に必ず各州の公式サイトを確認してください。



